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TBM(時間基準保全)とCBM(状態基準保全)は、どちらも「止めない現場」を目指すうえで欠かせない考え方ですが、判断基準が異なるため混同されがちです。本記事では両者の特徴と使い分けを整理し、予知保全に向けた次の一歩が見える状態をつくります。

TBMは、稼働時間やカレンダー日数など「時間」を基準にメンテナンスを実施する保全方式です。いわゆる予防保全の代表例で、たとえば「3カ月ごと」「2,000時間運転ごと」のように周期を決め、計画停止の中で整備・交換を行います。設備の劣化は見えにくい一方、周期を守ることで故障確率を下げ、現場のばらつきを抑えやすいのが特徴です。特に、点検手順が標準化されている設備や、停止計画を立てやすいラインで採用されやすく、「決めたタイミングで必ず手を入れる」運用で安定を狙います。
典型例は、定期的な部品交換やオイル交換、給脂、ベルト張力の調整などです。たとえば減速機のオイルを半年ごとに交換する、シール材を年次停止で一括更新する、といった形で実施します。点検結果に関わらず作業が発生するため、予算化・要員計画は立てやすい反面、実際にはまだ使える部品まで交換してしまう「過剰保全」になりやすい点は押さえておきたいところです。

CBMは、設備の状態(Condition)を示すデータを基準に、整備や部品交換の要否を判断する保全方式です。振動・温度・電流・圧力・潤滑油の状態などを継続的に見ながら、「いつ」「どこに」「どの程度の異常兆候が出ているか」を根拠に手を打ちます。TBMが時間で一律に実施するのに対し、CBMは「劣化のサインが出たら手を入れる」考え方で、不要な作業を減らしつつ、突発停止の芽を早期に摘むことを狙います。データを扱うため、DXの入口として語られることも多い方式です。
たとえば回転機械に振動センサーを付け、特定周波数の増加や全体値の上昇を監視して軸受の劣化を検知する、モータの電流値から負荷変動を捉えて異常を疑う、といった運用が代表例です。温度上昇や潤滑油の金属粉検出など、設備に合った指標を選び、しきい値や傾向(トレンド)で判断します。最初は重要設備や停止影響の大きい工程から始め、段階的に対象を広げる進め方が現実的です。
TBMとCBMの最大の違いは、「実施判断の根拠」です。TBMはスケジュールに従って作業を行うため、設備の個体差や使われ方の違いがあっても、同じ周期で整備が回ります。一方CBMは、状態データに変化が出たときに対応するため、同じ設備でも負荷や環境によって実施タイミングが変わります。どちらが正しいというより、停止影響・劣化の見えやすさ・データの取りやすさで適用の向き不向きが分かれます。
費用面では、TBMは定期的に作業が発生するため「毎年ほぼ一定の保全費」にしやすい一方、過剰保全でコストが膨らむことがあります。CBMはセンサーや基盤、分析体制など初期費用がかかる反面、不要な交換を減らして長期的に最適化しやすいのが特徴です。
| 項目 | TBM(時間基準) | CBM(状態基準) |
|---|---|---|
| 判断基準 | カレンダー/稼働時間 | 振動・温度・電流など状態データ |
| コストの性質 | 定期的に発生(予算化しやすい) | 初期投資+必要時に発生(最適化余地) |
| 故障への強さ | 周期外の突発には弱いことがある | 兆候検知で未然防止しやすい |
TBMのメリットは、計画性の高さです。停止計画に組み込みやすく、作業標準・部品手配・外注手配・予算管理まで一連で設計できます。現場の経験知が活きる反面、設備の実際の劣化状態と作業周期が合わないと、まだ使える部品を交換する過剰保全になりがちです。また、周期外で急激に劣化が進むケース(負荷変動、異物混入、潤滑不良など)では、定期整備の“隙間”に突発故障が起きるリスクも残ります。
CBMのメリットは、部品寿命を最大限に活かしながら稼働を安定させやすい点です。状態データを根拠に「必要なときに必要な箇所だけ」手を入れられるため、交換部品と工数のムダを減らし、故障の予兆を捉えて計画停止につなげやすくなります。一方で、センサー・通信・データ蓄積の仕組みづくりに初期投資が必要で、しきい値設定や原因切り分けなどの分析スキルも求められます。最初から完璧を目指すより、重要設備から小さく始めて運用で磨く発想が現場に合います。

BM(事後保全)は、故障が起きてから修理・交換する方式です。小型機器や停止影響が小さい設備では合理的ですが、主要ラインや安全・品質に影響する設備では、損失が大きくなりやすい点に注意が必要です。TBMやCBMは、BMの弱点である突発停止を減らすための発想と捉えると整理しやすくなります。
RBM(リスク基準保全)は、故障したときの影響度(安全・品質・生産・環境・コスト)と発生確率を踏まえ、保全の頻度や深さを決める考え方です。すべてをCBM化するのは現実的ではないため、リスクの高い設備から監視を厚くし、低リスク設備はTBMやBMで割り切る、といった使い分けに向きます。
RCM(信頼性中心保全)は、設備が果たすべき機能を維持することを最優先に、TBM・CBM・BMなどを状況に応じて組み合わせる考え方です。「この設備は何が壊れると困るのか」「その兆候は何で見えるのか」を整理し、最小のコストで最大の信頼性を狙います。TBMとCBMの違いを押さえることは、RCM的な設計に進むための基礎になります。
TBMは時間基準で計画的に進めやすく、CBMは状態データを根拠に無駄を減らしやすい手法です。どちらが優れているかではなく、設備の重要度や停止影響に合わせて使い分けることがポイントになります。
まずは「止まると困る設備」と「劣化のサインが取りやすい設備」を整理し、TBMで回している点検項目のうち、データ化できるものからCBMへ段階的に寄せていきましょう。小さく始めて運用で磨くほど、突発停止の抑制につながります。
CBMの考え方は、将来的な予兆検知やスマート保安、DX推進の土台になります。保全全体の整理や、次に読むべきコンテンツを探したい方は、下記のTOPページから関連情報をご覧ください。