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遠隔監視で設備保全コストはいくら下がる?投資回収(ROI)の計算方法と削減のポイント

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遠隔監視システムの導入を検討する場合、気になるのはその費用対効果。実際にどれだけのコストが削減できるのか、投入した費用がきちんと回収できるのかがわからないと、判断しにくいというのが本音ではないでしょうか。

ただ、費用対効果を考える前に、やらなければいけないことがあります。それは、「設備保全のどこに、どのような種類のコストがかかっているのか」を具体的な数字で把握することです。高い投資対効果(ROI)を望むのであれば、まず現状を「見える化」することからスタートする必要があります。

そこでここでは、設備保全のコストにはどのような種類があるのかを整理したうえで、ROI算出のために必要な要素や、遠隔監視システムの費用対効果について説明していきます。

設備保全のコストにはどのようなものがある?

設備保全のコスト削減や費用対効果を考えるにあたり明確にしておく必要があるのは、「なににどれくらいの費用がかかっているか」を把握することです。事業部や担当部署を横断していることなどが要因で、コストが集約されていないケースも見受けられます。

設備保全にかかるコストには、以下のようなものがあります。

設備修繕費

設備修繕費は工場の設備や機械など、会社の固定資産にあたるもの(建物や車両なども含む)を維持管理したり、故障した部分を修理・改修したりする際にかかる費用のことを指します。

範囲を広げると経年劣化した手すりなどの塗装や設備の部品交換、空調設備などのメンテナンス、エレベーターの保守点検など、設備修繕費に計上する内容は多岐にわたります。

基本的には原状回復を目的とする場合は修繕費として経費処理を行い、耐震性の強化など資産としての価値を向上させる場合は、資産として計上して減価償却する、資本的支出として扱うのが一般的です。

予防保全費

予防保全費に分類される費用は、工場の設備や機械が故障するなどの不具合を引き起こさないよう、定期的に点検を行ったうえで、一定の期間内に部品交換や徹底した清掃などを実施するためにかかる費用のことを指します。

定期点検や定期交換のサイクルを決めて計画的にメンテナンスを行うことにより、チョコ停といった突発的な故障による機会損失を防いで緊急的な修理を減らし、長期的には修繕にかかるコストを削減することができます。事後保全(故障が発生してからの修繕・改修)とは異なり、ライン停止といった事態を引き起こさず、設備の寿命を延ばす効果も期待できるメリットがあります。

しかし、注意すべき点もあります。たとえばまだ使える部品であるのにメンテナンス計画どおりに交換して無駄なコストが発生する、故障していなくても定期的な修繕コストが発生するという可能性がありますので、メンテナンス周期などは定期的に見直すことが推奨されます。

保全委託費(外注費用)

社内に設備保全の専門要員を配置することが難しい場合は、設備のメンテナンスや修理、定期点検や機械の清掃などを外部の専門業者に保全委託する、という方法があります。社内のリソース不足や新しい設備に対する技術や知識が不足している場合などは、外注もひとつの選択肢です。

ただし自社で人員を配置しない分人件費などは削減できますが、保全委託費が高くなればコストの削減につながらないというデメリットもあります。したがって工場の規模や配置すべき人員とのバランスを考え、どれくらいの予算であれば効率よく設備保全につなげることができるか、慎重に判断する必要があります。

保全担当者の人件費

設備保全を考えるときに悩ましいのは、社内に保全担当者をどのように配置するかということと、人件費の問題です。製造工程などさまざまな業務の人員を確保するだけでも大変なところに、さらに設備保全専門の担当者を置くのが難しいというケースもあります。

設備保全のための人件費はどの程度が適切なのか判断が難しいところですが、なによりチョコ停やドカ停で稼働率の低下や生産数の減少といった製造ロスを招いてしまわないよう、しっかり保全担当者の人件費を確保することが重要です。

整備不良による設備寿命の短縮

設備の小さな故障や整備不良による生産性の低下などを放置していると、もともとその設備や機械に設定されている設備寿命の短縮につながりかねません。最終的には設備や機械の交換を余儀なくされ、結果的に大幅なコストアップになってしまう可能性があります。

コスト削減という目的だけをピンポイントに考えるのではなく、設備保全による稼働率の維持や生産性の向上、人件費の最適化、設備や機械の寿命延命といった複数の要因をテーブルにあげて整理し、コスト削減につなげるための設備保全計画を立てるようにしましょう。

そのほかのコスト

故障や不具合による生産性の減少や生産効率の低下もひとつの「コスト」としてとらえることができます。チョコ停などを引き起こさないように予防保全や予知保全に費用を投じるわけですが、機会損失によるロスが発生した場合に一定のコストがかかることも忘れてはなりません。

設備や機械の停止ロスを最小限にするためにも、設備保全の予算をしっかり確保するのが理想です。単なる修理代の削減だけでなく、止まっていた時間で本来作れたはずの製品利益(機会損失)こそが、真に削減すべき最大のコストであると言えるでしょう。

設備保全の費用対効果はどのようにして算出するのか

費用対効果の検証にはまず「コストの見える化」が必須

設備保全のコストにはどのようなものがあるか先述しましたが、設備や機械ごとにコストの種類に分けて保全費用を把握することが大変重要です。いわゆる「コストの見える化」ができていないと、設備保全全体の費用対効果を検証することができないからです。

属人的な作業でさまざまな数字を記録していくとそれこそ人件費が高騰してしまうため、IoTや専用のデジタル媒体を利用して、自動でデータが取得できるようにするのが一般的です。

費用対効果(ROI)の算出方法

保全費用の費用対効果(ROI)は、「投資コスト」と「削減できるコスト」を比較することによって算出します。基本的な計算式は「ROI(%)=(効果額÷投資額)×100」です。

効果額は、以下3つの合計で算出します。

  1. 設備および機械の停止時間削減効果
    「削減できた停止時間(何時間あるか)」×「時間あたりに生じる生産損失(生産損失の金額)」
  2. 修繕費・改修費の削減効果
    「設備保全につなげる施策を導入する前の年間修繕費」−「対策後の年間修繕費」
  3. 品質の改善効果
    「不良品を削減できた数」×「単品の利益(円)」

上記3つを合計して効果額を出してIoTセンサーや遠隔監視システムなど導入費用で割り、100を掛ければROIが算出できます。一般論ではありますが、ROIが10~20%以上が良い投資の目安になると考えられています。

また工場設備投資の回収期間(何年で元が取れるか)を気にする決裁者が多いと思いますが、投資回収期間は「初期投資額÷年間キャッシュフロー効果額」で算出することができます。一般的な目安として、3~5年で投資が回収できる設備が適正とされています。

設備保全担当者の人件費の計算方法

設備保全担当者の人件費に関しても、時間単価を算出して明確にしておきましょう。計算の仕方は、保全担当者の時間単価を「年間人件費÷年間稼働時間」で算出、設備・機械別、作業別に保全作業にかかった時間を記録して、「工数×時間単価」で算出します。

ざっくりとした感覚値ではなく数字化して明確にすることによって、設備保全担当者の人数が適切なのか、外部専門会社に委託した場合の費用との比較をしたうえで、コスト削減につなげることが可能かどうか、判断します。外注したほうがコストの削減につながる場合もあります。

設備保全の外注費はどこまでかけていいのか

一般的に外注費用は設備や機械の資産価値の「1~3%」に外注比率を収めるのが理想とされています。考え方としては、社内で設備保全を行った場合の人件費と外注費の比較、外注前と外注後の不良品発生率の比較などを経て、内製のままいくのか外注するのかを判断します。

ただしベテラン社員の退職や人員不足で設備保全まで手が回らない場合は、外注専門業者から相見積もりを取って、できるだけコストパフォーマンスのいい外注先を選ぶとよいでしょう。

設備の保全費用削減を実現するために必要な3つの要素とは

設備や機械の保全費用を削減するためには、いくつか踏まえておきたい要素があります。以下に代表的なものを挙げてみました。

遠隔監視の導入で効率化を図りROIを向上させる

費用対効果を上げるにしても、コストを削減するにしても、その根拠となるのはさまざまな数字です。近年導入する工場が増えている遠隔監視システムは、リアルタイムにデータを収集することができるため、データ収集や巡回に割いていた人員が必要最低限で済むようになります。

常時データが収集されることにより、設備故障や不具合などの予兆をキャッチすることができるため、ダウンタイムの回避や短縮につなげることができます。遠隔監視センサーなどの導入に初期費用はかかりますが、生産効率の向上や人件費の削減、品質の維持、設備や機械の延命などにつなげられれば、投資利益率は上がるはずです。

設備のライフサイクルコスト(LCC)を見直す

ライフサイクルコスト(LCC)とは、設備や機械を購入(取得)してから廃棄するまでの期間にかかったすべてのコストの総合計のことを指します。設備を導入する際に最初に比較検討の対象になるのは「購入価格」ですが、コストとしてかかってくるのは導入時に必要な購入費用だけではありません。

保全にかかる費用や運用に必要な費用、最終的に廃棄する際に発生する費用までの総コストにどれくらいの金額がかかるのかを見ておくことで、無駄に高い保全費用を支払う必要が生じるかどうかを予測できます。

LCCの予測でもっとも難しいのが保全コストであるとされているため、設備や機械の購入を決める際には、購入価格だけでなく保全コストや運用コスト、廃棄コストなどにどれくらいかかるか、営業担当に確認してみるようにしましょう。

設備の使用効率の度合いを表す指標「設備総合効率(OEE)」を上げる

設備総合効率(OEE)とは、設備や機械の使用効率を測る指標となる数値です。OEEの算出は、性能稼働率と時間稼働率、良品率の3つの要素から割り出しますが、OEEを正確に計算して分析するためには、リアルタイムでさまざまなデータを取得できる環境が不可欠です。

OEEという指標を活用することによって、生産効率の向上と保全コストと製造コストの削減、品質の向上につなげることができます。たとえば時間稼働率のデータを確認することで故障の予兆や予測が可能になり、その予測に沿ってメンテナンスの時期を決めることができます。いわゆる「予兆保全」を実現するためにも、OEEは有効なのです。

OEEを向上させることが製造コストの削減にもつながり、ダウンタイムを減らして良品を製造し続けられれば、ROIの向上も実現できます。

工場への遠隔監視システム導入が加速している理由

本記事では設備保全のコスト削減や費用対効果について解説してきましたが、これを計画的に実行するために必須なのが、リアルタイムであらゆるデータを取得して蓄積することです。巡回検査で保全担当者が記録を残していくかたちでは、人件費も労力も多大なものになってしまいます。

そこで有効なのが、遠隔監視システムの導入によるデータの取得です。自動であらゆるデータを獲得して蓄積していくことができるため、ROIやLCC、OEEなどを算出してコスト削減につなげることができます。

24時間365日途切れることなく監視が継続でき、データに裏付けられたノウハウを蓄積することができるようになります。一部のベテランの勘に頼ることなく、属人化していた保全作業をだれでも担えるようになるため人員配置が最適化され、人件費の削減にもつながります。

「事後保全」ではなく「予兆保全・予知保全」への転換がカギ

遠隔監視の導入でもっとも重要なのは、故障やトラブルが発生してから対応する「事後保全」ではなく、IoTやAIを活用して設備や機械の状態を常に監視して異常の兆候がないかをチェックして保全につなげる「予兆保全」という保全のあり方に転換していくことです。

さらに将来発生しうる故障やトラブルを予測する「予知保全」につなげるための分析には、遠隔監視で獲得するデータが欠かせません。いつまでも事後保全を続けていると、ダウンタイムのコストや修理費用・改修費用を圧縮できなくなってしまいます。

遠隔監視システムを導入する工場が増えているのは、迅速な異常検知や保全費用の最適化だけでなく、保全担当者の人件費も最適化してくれるという点も大きいのではないでしょうか。

設備保全の費用対効果やコスト削減の試算が知りたいなら

遠隔監視をいきなり設備全体に実装するのではなく、故障頻度が高く製造ラインにもっとも影響の大きい設備をチョイスすれば、最初から高額費用を投じずとも、スモールスタートで成果を検証することも可能です。

ただ工場の規模や設備のタイプ、機械の種類などによって適正なコストは変わりますし、なにをベースにして費用対効果のある・なしを決めるのか、なかなか正解がわからないというのが正直なところかもしれません。

IoTやAIの活用や遠隔監視の導入を検討したい、保全計画を見直したい、保全費用の見える化に着手したいとお考えの事業者や、コスト削減の試算が知りたい担当者の方は、ぜひ下記問い合わせ先よりご相談ください。