設備保全DXに関する相談をする

老朽化した設備の管理と更新

当メディアは第一実業株式会社をスポンサーとしてZenken株式会社が運営しています。

目次

工場を安定稼働させるためには、老朽化した設備の管理や更新が求められます。しかし、業務の属人化や煩雑化など、さまざまな課題もあります。ここでは、老朽化した設備の管理・更新業務が抱える課題や、効率化・省人化を実現する方法を紹介します。

記事監修:第一実業株式会社(設備保全DX領域)/最終確認日:2026年7月23日
記事監修:第一実業
取締役 常務執行役員CSO 上野 雅敏さん
取締役
常務執行役員CSO
上野 雅敏さん
取締役 常務執行役員CSO 上野 雅敏さん
取締役
常務執行役員CSO
上野 雅敏さん
75年以上の知見から、
現場課題に沿った
設備保全DXを提案

総合機械商社の第一実業は、プラント・製造業分野で75年以上にわたり現場の設備導入と運用を支援してきました。
石油・化学・製紙など重厚長大産業の設備を扱い続けてきたノウハウを基盤に、メーカー中立の立場から各種産業へ保全DXや予知保全など新しい取り組みを提案。理想論ではなく、現場に根ざしたリアルなDX提案を実現します。

※参照元:第一実業公式HP(https://www.djk.co.jp/company/history/)2025年9月末時点

老朽化した設備の管理と
更新の業務内容

老朽化した設備の管理・更新業務は多岐にわたります。

  • 設備点検と監視
  • 設備の診断
  • 部品交換やメンテナンス
  • 更新計画の策定
  • 見積もり取得や工事の発注

設備の維持管理業務では、点検や監視に加え、必要に応じて診断も行います。診断結果によっては更新を検討し、具体的なスケジュールや計画を策定します。更新計画を策定した後はメーカーから見積もりを取り、工事の発注まで携わる場合もあります。

老朽化設備の課題

老朽化した設備の管理や更新は重要な業務である一方、現場では多くの課題を抱えています。

人手不足と属人化

主な課題の一つが人手不足と属人化です。設備保全では人員確保に悩む会社も多く、限られた人数で対応しているケースも見られます。また、点検や診断など一部業務は専門的なノウハウが必要なため、属人化が進む場合もあります。属人化が起きると、作業員が退職した際に業務へ支障が出るリスクが生じます。

人材育成と技術承継

人手不足を補うために若手を育てる必要がありますが、現場ではOJT中心で「見て覚える」育成に頼りがちです。

異常音のわずかな違いや温度変化の感覚といった暗黙知が多く、マニュアル化が難しいため、一人前になるまでに時間がかかります。結果として属人化がさらに強まり、技術承継が進みにくいというジレンマが生まれています。

情報管理における課題

点検や診断の記録が紙ベースで残されている現場も少なくなく、過去の履歴を探すのに数時間かかることがあります。書類の紛失や更新漏れが原因で「交換済みだと思っていた部品が未発注のまま残っていた」といったトラブルに発展することもあります。

情報管理の非効率さは、更新の判断を遅らせる大きな要因になっています。設備情報を一元管理する仕組みは「設備台帳管理システムとは?」で解説しています。

人為的なミス

点検項目のチェック漏れ、測定値の記録ミス、紙からシステムへの転記間違いなど、日常的なヒューマンエラーも課題です。ヒューマンエラーが起きると、再診断やデータの整合性チェックなど、多くの時間を取られることになります。

部品供給終了(生産終了)のリスク

老朽化設備で見落としやすいのが、部品やユニットの供給終了です。設備自体はまだ動いていても、交換部品が入手できなくなった時点で、実質的に更新を強いられることになります。

メーカーの保守サポートが終了している、あるいは製造元が廃業しているケースでは、故障してから代替品を探すことになり、復旧に想定外の時間がかかります。事前に次の点を確認しておくことが有効です。

  • 主要部品の生産終了予定・保守サポート期限をメーカーに確認する
  • 供給終了が近い部品は、あらかじめ在庫を確保しておく
  • 互換品・代替品が存在するかを調べておく
  • 設備台帳に「保守サポート期限」の項目を持たせ、期限管理する

予備品の在庫を適正に保つ考え方は「設備予備品の管理課題と解決策」をご覧ください。

更新か延命かを判断する4つの軸

老朽化設備への対応は「更新する」「延命して監視する」「そのまま使い続ける」の3択になります。この判断を感覚で行うと、まだ使える設備を更新したり、逆に限界を超えた設備を使い続けて突発停止を招いたりします。次の4軸で整理すると判断しやすくなります。

軸1:設備重要度(止まったときの影響)

その設備が止まったとき、ライン全体が停止するのか、予備機で代替できるのかを確認します。停止1回あたりの損失額が大きい設備ほど、更新または監視強化の優先度が上がります。

軸2:故障履歴(実績としてどれだけ止まっているか)

過去1〜2年の故障回数・停止時間・修理費を確認します。修理費が積み上がっている設備は、更新したほうがトータルコストで有利になる可能性があります。逆に、稼働年数が長くても故障が少ない設備は、更新を急ぐ必要はありません。

軸3:部品供給リスク

前述のとおり、部品が入手できなくなれば更新は避けられません。保守サポート期限が明確になっている設備は、期限までに更新計画を立てるのが基本です。

軸4:更新コストと延命コストの比較

更新には多額の初期投資と生産停止期間が必要です。一方、延命には継続的な修理費と、突発停止リスクを抱えるコストがあります。両者を数年単位で比較して判断します。

比較の際は、修理費だけでなく突発停止による機会損失も含めて計算することが重要です。試算方法は「投資回収(ROI)の計算方法と削減のポイント」で解説しています。

更新の優先順位を決める評価表

複数の老朽化設備を抱えている場合、上記の4軸を点数化して比較すると、社内での合意形成がしやすくなります。

評価項目 優先度が高い(更新を検討) 優先度が中程度(延命+監視) 優先度が低い(現状維持)
停止時の影響 ライン全体が停止する 一部工程に影響する 予備機で代替できる
故障頻度 年に複数回停止している 年1回程度 ほとんど故障していない
年間修理費 更新費用の一定割合に達している 徐々に増加傾向 低水準で安定
部品供給 供給終了・メーカー廃業 保守サポート期限が近い 問題なく調達可能
安全・法令面 現行の安全基準を満たしていない 対策で対応可能 問題なし
省エネ性能 旧型で消費電力が大きい 標準的 比較的高効率

「優先度が高い」に該当する項目が多い設備から更新計画を立てるのが基本です。なお、省エネ性能の高い設備への更新であれば、補助金を活用して負担を軽減できる場合があります(→設備保全DXのための補助金一覧【2026年版】)。

更新予算がない場合は「後付けIoTで延命」という選択肢

更新の優先度が高いと分かっても、予算の都合で今期は着手できないケースは少なくありません。この場合、「壊れるまで待つ」のではなく、監視を強化して突発停止を避けるという中間的な対応が有効です。

後付けIoTで延命する場合の進め方

  1. 監視項目を決める:過去の故障モードから、どのデータを見れば兆候が捉えられるかを特定します(振動・温度・電流など)
  2. 後付けセンサーを設置する:PLCや図面がない古い設備でも、クランプ式の電流センサーやマグネット式の振動センサーで外側から計測できます
  3. 正常範囲を把握する:一定期間データを取得し、その設備固有の正常な状態を把握します
  4. アラートを設定して運用する:異常の兆候が出た段階で計画的に対応し、突発停止を避けます
  5. 蓄積データを更新判断の根拠にする:劣化の進行度合いがデータで示せると、次年度の更新予算の稟議も通しやすくなります

この方法であれば、大きな投資をせずに突発停止のリスクを下げつつ、更新のタイミングをデータで判断できるようになります。具体的な進め方は「古い設備をDX化するには?後付けIoTの進め方」で、1台からの検証手順は「失敗しない予兆保全の始め方 ポンプ1台からの「スモールスタート」が成功する理由」で解説しています。

老朽化設備の
管理を効率化するには

老朽化した設備の管理・更新業務は、デジタル技術の導入によって効率化・省人化が可能です。

カメラ・ドローンによる
遠隔監視の実現

設備外観の点検や診断にカメラやドローンを取り入れると、リモートによる監視体制を実現できます。作業員は事務所から設備をチェックできるため、現場までの移動が不要になります。浮いた移動時間は、他の業務に充てることが可能です。

IoTプラットフォーム・
システムの導入

IoTプラットフォームはデータの一元管理を可能にします。設備情報はもちろん、保守履歴や予備部品の在庫など、さまざまなデータをまとめて管理可能です。

また、データの検索性が向上し、必要な情報へすぐアクセスできるようになります。組織内での情報共有もしやすくなるでしょう。

設備診断におけるAIの活用

設備診断へのAI活用も検討の余地があります。人手による設備診断は、作業員のノウハウに依存する部分が多く、担当者によって結果のばらつきが生じます。

AIが代替することで基準が統一化され、結果のばらつきを防げます。属人化が解消されるほか、異常の早期発見が可能になります。

スマホアプリによるデータ入力・
診断報告の効率化

現場作業にスマホアプリを導入すれば、データの入力や報告書作成業務を効率化できます。紙への記入が不要になり、業務のペーパーレス化にも繋がります。また、入力データはシステムと自動連携するため、PCへのデータ入力や転記作業も不要です。記録の電子化の進め方は「設備保全のペーパーレス化で終わらせない!現場の二度手間をゼロにする「真のDX」とは」をご覧ください。

老朽設備の更新は見える化と
標準化が第一歩
取締役 常務執行役員CSO 上野 雅敏さん
取締役 常務執行役員CSO
上野 雅敏さん
取締役 常務執行役員CSO 上野 雅敏さん
取締役
常務執行役員CSO
上野 雅敏さん
記事監修:第一実業

老朽設備の更新では、まず設備状態や履歴を整理して見える化・標準化することが出発点です。そのうえでIoTやAI、ドローンなどを段階的に導入すれば、属人化を防ぎつつ効率化と省人化を実現できます。

第一実業では、メーカー中立の立場で複数技術を比較し、現場に合った対策の進め方を支援しています。

経産省資料から見る
老朽化設備の管理と更新対策

老朽化した設備の管理・更新業務に、IoTを活用した事例を紹介します。

配管保守工事における
3D配管MAP構築の活用

従来の配管工事は、メジャーによる手作業計測や2D図面の作成に依存しており、精度のばらつきや作業負担の大きさ、業務の属人化が課題でした。

こうした課題に対し、3D配管MAP構築システムで取得した画像データをAIが自動処理し、配管形状を立体的に把握できる仕組みを構築。

作業時間の短縮と標準化が進み、属人化の解消や精度向上につながります。さらに、老朽化設備の保全や災害対応の迅速化など、長期的な維持管理にも大きな効果を発揮します。

参照元:経済産業省【PDF】「スマート保安に関する取組事例集」
https://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/smart_industrial_safety/jireisyu_r3.pdf
老朽化した設備の管理と
更新業務は改善が可能

老朽化した設備の管理・更新業務にデジタル技術を導入すれば、効率化や省人化を実現可能です。AIやドローンを活用した場合、一部業務の自動化も実現できます。ただし、現場の課題によって適切な技術は異なります。自社の課題を洗い出し、必要な技術の選定やメーカーへの相談を進めましょう。

また、すべての老朽化設備をすぐに更新する必要はありません。設備重要度・故障履歴・部品供給リスクで優先順位を付け、当面は後付けIoTで監視を強化して延命するという選択肢も、限られた予算で安定稼働を維持する現実的な進め方です。

当サイトでは、設備保全のDX化を検討している方に向け、導入効果や進め方、活用例などをまとめています。設備保全DXの入門書として、ぜひお役立てください。