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DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、AIやIoTといったデジタル技術を駆使して既存のデータなどを活用し、ビジネスモデルを根本的に変革して競争力を強化することを指します。製造現場でDXを導入する目的には、業務の効率化や生産性の向上といったものが挙げられますが、高額費用をかけても失敗するケースがあるといいます。
そこでここでは、製造現場のDXが失敗する理由について解説しながら、どうすれば「PoC死」を起こさずDX化を成功させることができるのか、探っていきたいと思います。
「DXの導入をしたいけれども、うちではなかなかハードルが高い」――そう感じる中小規模の製造企業が少なくありません。そう感じる理由には、以下のようなものがあります。
まず考えられるのは、アナログな業務フローなど現在の作業環境を変えるのが大変、という理由。もともとデータ化されていない作業工程があったり、ベテラン作業員の知見や勘に頼っていたりする場合、新しいシステムやデジタルツールの活用が困難であるという判断になることがあります。
たとえば既存システムが事業部ごとに分断されていることから横断的なデータ活用が難しい、複雑にカスタマイズされていて既存システムがブラックボックス化しているといった問題を抱えている場合は、DX化が難しいとされています。
中小企業の場合、新システムに対応する製造装置の入れ替えや高額なコストのかかるシステムへの切り替えは、予算編成上難しいという問題があります。業務フローの一部分だけをDX化するにしても、どこからどう着手すればいいかわからない、というケースもあります。
さらに老朽化したレガシーシステムはデジタル対応をしていない場合が多いく、初期投資が高額になる傾向にあるため、製造現場のDX化に踏み切れないという会社も多く存在します。
製造業に限ったことではありませんが、経営陣や上層部がDX化を決断して新システムを導入しようとしても、現場レベルの理解を得るのはそう簡単ではありません。属人化した非効率な業務フローでも、従来のやり方を変えることに抵抗を感じるベテラン従業員がいたり、社内全員にDX導入の意義やメリットを理解してもらったりと、導入までの道のりは簡単ではありません。
ITリテラシーのない従業員への研修や抜本的な業務フローの見直し、新たなデータ入力の発生による手間などネガティブにとらえてしまう従業員も少なからずいるはずです。DXを成功させる要因は、技術ではなく人であるといわれています。社内のコンセンサスを得ることは非常に優先度の高いことなのですが、これがなかなか難しいというのが実情です。
中小企業の場合、ITの知識が豊富でDXを任せられる人材がいない、もしくは圧倒的に不足している場合がほとんどです。社内のリソースだけで対応しようとすると、当然無理が出てきてしまいます。DX専任の人材が確保できないといった理由から、DX導入はハードルが高いと感じてしまうことも多いのです。
では実際、製造業のDXが失敗してしまう理由にはどのようなものがあるのでしょうか。先述したようにDX導入に躊躇する要因は複数ありますが、そのハードルを超えて工場や業務のDX化を進めても、失敗してしまうことが少なくありません。
ここでいくつか具体的な事例でDXが失敗してしまった理由を知ることで、成功に導くポイントを押さえておくようにしましょう。
製造工程のDX化を実現するために生産管理システムを導入したものの、業務を行う現場のワークフローと導入したシステムが合わず、逆にこれまでになかったデータ入力などの業務が増えてしまいました。システム導入に高額な費用をかけたにもかかわらず、満足のいく成果が得られないという結果に。
長年使用してきた独自技術の古い機械などと最新システムとの連携や統合ができず、DX化が進まないといった事例も多く見受けられます。レガシーシステム導入当時の作業員が退職してしまい、システムの仕様が次の世代に受け継がれなかったり、管理の属人化で業務フローが非効率だったりといった問題が原因の場合が少なくありません。
経営陣の知識不足や認識不足も原因といえますが、最新のツールさえ導入すればDXが完了するという思い込みが、思わぬ失敗を招いてしまうという事例も少なくありません。実際の業務内容やプロセスを改革していくことや、システムを運用していくにあたって必要なIT担当者の配置など、組織全体がDXに向けた体制になっていないことが失敗の理由といえます。
DXシステムの導入は高額なコストがかかるため、経営陣の決断がなければゴーサインが出ないものです。ただ決裁者が現場の意見も聞かずにトップダウンでツールやシステムの導入をしてしまうと、実際に業務を担う現場から猛反発を受けてしまいます。どんなに優れたツールでも、実際に手を動かす現場、とくにベテラン従業員などは新システムに拒否反応を示すものです。したがって現場のことをよく知らない上層部の判断が、現場の混乱を招く要因となるのです。
工場にIoTを導入したものの、実証実験止まりもしくは概念実証で終わってしまう、いわゆる「PoC死」を起こしてしまうパターンには共通点があります。
上記の失敗事例でも同じような状況が見られますが、代表的な要因を3つ挙げておきます。
まず陥りやすいのが、IoTやAIといったDX手段の導入自体が「目的化」されてしまっていること。最新のツールやシステムを導入することばかりに着目するあまり、製造フローや実務作業との整合性がとれない、現場で作業する従業員が対応できないといった状況を招いてしまいます。
実証実験で従来のデータとの互換性や製造フローとの整合性が取れないことが判明して生産性が下がることがわかり、PoC死という最悪の結果になってしまうこともあります。IoTやAIなどのデジタル技術を自社のビジネスにどのように活かせるのか、専門家に意見を求めるなどして慎重に進めることをおすすめします。
これはDXに限ったことではありませんが、社長などの経営陣がDX導入を決める際に現場の声を聞いていないことによる社内体制の不備も、PoC死の要因です。新しいツールやシステムを使って作業する従業員の意見や不満を吸い上げることなくトップダウンでDX化を推進しようとすれば、上層部と現場の摩擦が生じ、心理的な抵抗も大きくなります。
実証実験が単なる技術のデモンストレーションに終わり、いつまで経っても「とりあえずPoC」を繰り返すという悪循環で実装までたどり着けません。
高額なコストを投じる前に明確にすべきなのは、何をもって成功とするのか、どれだけの投資対効果が得られればいいと考えるのかという指標の策定です。ツールの便利さや目新しさに魅力を感じるのは当然ですが、目標とする数値の設定がないまま突き進んでも、ゴールのないマラソンをするようなものです。
業務効率化の成功を測る数値目標や生産性がどこまで上がれば成功なのかを決めないと、PoCを行うこと自体が目的となってしまいかねません。
これまで解説してきた失敗事例などを踏まえ、最後に製造業のDX導入を成功させるポイントについてまとめておきます。
何を解決するためにDXを導入するのかを明確にすることが、成功するために非常に重要なポイントです。競合との競争力を上げるための生産性向上なのか、業務の効率化で製造コストを圧縮するのか。経営陣から現場の従業員までDX化の目的を共通認識として持つことが大事です。
さらに、DXの導入で会社がどのような未来を実現していこうとしているのか、何を目指していくのかといったビジョンの共有も必須です。DXの成功は技術ではなく「人」によってもたらされることをいま一度認識するようにしましょう。
ITの専門家が自社にいない場合は外部パートナーなどに協力を仰ぎながら、DXを推進するための社内体制を構築することがはじめの一歩です。DXの責任者をリーダーに、部署横断型で推進していけるような仕組みを作らないと、PoCの先に進むことができません。
さらにDX化の目的やビジョンを浸透させ、現場レベルまでDXを「自分事化」できるような取り組みも必要です。たとえばITリテラシーの低い従業員に研修を行う、つねに現場のヒアリングを実施しながら課題や問題を共有して一緒に解決していく、といった工夫をしていくようにします。
先ほどもKPI(中間目標)やROIといった目標となる数値設定の重要性には触れましたが、できればKGI(重要目標達成指標)、売上高や成約数アップなどのゴールまで明確にしておくと、DX化の推進力も増していきます。
デジタル技術の導入に「根性論」は不要です。仮に目標に届かない場合は、どこに問題があるのかを検証し、カスタマイズなどの改善策を講じるようにします。その際留意したいのは、DX推進の優先順位をつけること。一度にすべてのシステムを変更するのではなく、最優先すべき課題の解決から着手すると、失敗してもPDCAを回して軌道修正ができます。
どんなにすばらしいツールであっても、最新のシステムであっても、それを使うのは「人」です。意外なことに、これは経営陣が見落としがちなポイントです。IoTやAIなどの最新のデジタル技術を導入して企業の競争力を向上させ、目標に向けて経営者や上層部がDXを推進するリーダーとして従業員を引っ張っていくのが理想とするかたちです。
製造DXを成功させるカギとなるのは、精神性も含め人と組織がDXという手段を活用していかに変わっていけるのか、という点です。単なるIT技術の導入にとどまらず、ビジネスモデルの変革まで突き進むことができれば、企業としても大きな成長を遂げることができるはずです。
みなさんは「2025年の崖」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。この言葉は、経済産業省が2018年に発表した『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』の中で紹介されています。このレポートの中で、製造業に限らずすべての産業でデジタル技術によるビジネスの変革が進まなければ、2025年以降最大で年間12兆円の経済損失が生じる可能性がある(※)としています。
属人化した作業工程を見直すきっかけを逃し、2025年の崖もそのままスルーしてきた会社を待ち受けるのは、どのような未来なのでしょうか。ITのリテラシーもDXを推進する知見もないから、既存システムのままやり過ごすしかない…とあきらめるのは早計です。自社だけで解決しない場合は、DXコンサルなどの専門会社の力を借りる、という方法があります。
※参照元【PDF】:経済産業省DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~(https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/20180907_02.pdf)
第一実業(DJK)は2026年で創立78年を迎えます。海外18ヵ国に36拠点を展開し、さまざまな機械メーカーと製造業をつないできた実績があります。あらゆる生産現場の技術支援や課題解決につながる提案を行い、DXソリューションの提供も行っています。
各種プラントの設備高経年化・労働力不足といった社会問題を解決すべく、スマート工場化に対応するためのカメラ・センサーなどの機器やシステムを提供し、DX化に悩む多くの企業をサポートしてきました。
DJKにご相談いただければ、貴社に必要なデジタルツールの提案だけでなく、現状を伺ったうえで課題や問題点の抽出からDX導入後の運用支援まで、しっかりサポートさせていただきます。単に機器や設備を販売して終わりという商社・ベンダーとしてではなく、クライアントのさまざまな悩みに向き合ってきた「現場を知るパートナー」として、いつでもお気軽にご相談いただければと思います。