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24時間稼働している工場などでは、機械や設備の緊急停止やモーターの異常高温などのトラブルが発生すれば、夜間や休日に急な対応を迫られることも多々あります。このような勤務形態は、従業員にとって大きなストレスになってしまいます。
不定期なシフトや緊急対応の発生するイレギュラーな現場は、人材確保や人材定着が難しいという大きな課題を抱えています。賃上げや資材高騰、不安定な世界情勢など、中小企業を取り巻く環境は厳しさを増しています。だからこそ、人材獲得の工夫や従業員の職場環境改善に注力する必要があります。
そこでここでは、実際にIoTを導入することによって属人化する作業工程の見直しや、省人化などに成功した製造業の事例を紹介していきます。中小規模の工場だからIoTを導入しても意味がないだろうと諦めている経営者や現場責任者は、ぜひこの事例を参考にしてみてください。
ある従業員数30名規模の金属熱処理加工メーカーでは、歪みの少ない高精度な熱処理技術を有し、高い評価を得ていました。しかし、夜間は熱処理炉を無人で運転しており、トラブルが発生するたびに管理者や担当者が対応せざるを得ないという状況でした。
【課題】
このほか、一部の事務作業なども属人化しており、大変時間がかかっていました。この課題を解決するために、同社はIoTの導入を決断します。
【解決】
従業員の人数が少ないからこそ、IoTやAIの技術を活用して効率的に設備管理を実施しているだけでなく、人件費のコストを圧縮して従業員のワークライフバランスも改善できたという、好例のひとつです。
ある従業員数50名規模のプラスチック射出成形メーカーでは、単価の安い射出成形品を大量に製造するため、創業当時から24時間365日工場を稼働させていました。かつては夜間や休日も人員を配置して、経営者自身も会社に泊まり込んで管理していたそうです。
【課題】
年間を通して生産体制を維持するため、当時属人化していたさまざまな作業をデジタル化による効率化で解決しようと大きく経営の舵を切りました。
【解決】
IoTやAIによるデジタル化は、単に作業の効率化や省人化だけを実現するものではないということが、この事例から分かります。後付けの遠隔監視システムなどデジタル技術を駆使して、生産工程自体を見直すことによって生まれる余剰時間や人材を活かすことができれば、次なる事業展開につなげていくことも可能です。
ある従業員数30名規模のプレス加工メーカーでは、かつては薄利多売の加工費の積み重ねで収益を得ており、金型もすべて外注していたため、収益的にも事業展開にも大きな伸びが期待できない状況でした。
その後、金型の内製化を進めた結果、主導的なものづくりを実現し利益率も高まりました。ここで同社が次に取り組んだのが、徹底的にデジタル技術を活用するということでした。
【課題】
まず金型の内製化を実現したのち、適切な人員配置や属人化していた作業などのデジタル化に着手しました。
【解決】
デジタル技術でルーチンワークを徹底的に自動化することによって、考える時間と考える人材を創り出している事例です。IoTの活用は、自動化による作業の効率化だけでなく、人材育成や新事業の創出にリソースを振り分けることができるようになるという大きなメリットがあります。
ここで紹介したIoT導入などの成功事例からは、単に作業の効率化につなげただけでなく、新たな事業モデルの構築につなげるなど多くのメリットがあることがわかります。
ご紹介した事例のなかには、大掛かりなシステム構築を実現したものもありますが、いまある設備や機械に後付けでセンサーや監視カメラなどを設置する方法もあります。この方法であれば、高額な費用を投じることなく、スモールスタートで設備保全(予知保全)が可能になります。
設備保全の手法として注目されている「予知保全」とは、リアルタイムで設備の状態を監視して、記録されたデータに基づいてトラブルを事前に回避するためのメンテナンスや部品交換をする手法です。この予知保全にはIoTが不可欠です。
本記事の最後に、IoTによる遠隔監視の導入により、どのようなメリットが得られるのかまとめておきましょう。
夜間・休日の巡回点検やトラブル対応は従業員にとって大きな負担です。スマートフォンやタブレットを使って遠隔監視ができるようになれば、わざわざ深夜に工場に出向かなくても遠隔で操作ができるケースが増えます。自宅と工場が離れている場合などは夜中に対応するのは大変ですので、これが改善されるのは大きなメリットです。
IoTによる遠隔監視システムを実装することで24時間365日、タイムラグなくリアルタイムで設備や機械の監視ができます。これまで属人化していた設備管理の業務をなくすことも可能です。人の目で見るよりもデータとして確認するほうが、人為的なミスも起こりにくいという特徴もあります。
モーターの不具合や異常高温など、設備や機械に不具合が生じた場合にアラートで知らせてくれる点もメリットです。小さな異常ならチョコ停ですみますが、そのまま時間が経過してしまうとドカ停につながってしまいます。スピーディに対応できれば、設備の故障を未然に防げます。
よく「工場の見える化」と表現されますが、遠隔監視システムを導入すると、設備の稼働率や生産量、生産率、消費電力といった生産性をクラウドサーバーにデータとして記録して可視化することができます。設備保全だけでなく、データを分析することで生産性の改善にもつなげることができます。
設備や機械の稼働状況などがすべてデータ化されることで、故障のリスクやトラブルの予防につなげることができます。IoTやAIといったデジタル技術の導入で、ダウンタイムを極力なくして高稼働率、高生産量を維持できるようになります。
製造工程におけるさまざまなデータが蓄積できることにより、不良品発生率の低下や製品品質の安定につなげることができます。不良が発生しやすい製造工程が確認できれば、どの設備をどう改善すればよいかも見えてきます。
遠隔監視システムの導入により、巡回検査など属人化していた業務をなくして作業を効率化することができるため、人材配置の最適化が図れます。その結果省人化が実現でき、そのリソースをほかの業務に振り分けることも可能です。
この記事で紹介した3つの事例は、社員数が数十名規模の比較的規模が小さな製造工場です。「うちは従業員も少なく小規模だし、デジタルのことはわからないから無理だろう」と思い込んでいる事業者のみなさんも、けっしてそうとは言い切れないことを知っていただきたいです。
設備の開発や最新の機械を導入するためには、費用負担が大きくなかなか踏み切れないという事情はあると思います。しかし、後付けの遠隔監視システムであれば、高額な費用は必要ありません。設備のタイプや機械の種類にもよりますが、スモールスタートで「工場の見える化」と「遠隔監視」が実現できます。
多機能すぎて使いこなせない大手向けシステムではなく、現場に必要な機能だけに絞った「身の丈に合ったDX」のひとつとして、遠隔監視システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
第一実業(DJK)は2026年で創立79年を迎えます。海外18ヵ国に36拠点を展開し、さまざまな機械メーカーと製造業をつないできた実績があります。あらゆる生産現場の技術支援や課題解決につながる提案を行い、DXソリューションの提供も行っていますが、小規模工場への遠隔監視システムなどもご提供しています。
工場へのIoT導入事例や遠隔監視システムの詳細についてもっとくわしく知りたい場合は、下記問い合わせ先よりご相談ください。