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モーター故障原因と効率的なメンテナンス方法

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目次

モーターは、生産ラインや搬送設備などあらゆる機械の駆動源として重要な役割を担っています。ひとたびトラブルが発生すれば、ライン全体の停止や製品品質の低下につながることもあるため、日常的なメンテナンスが欠かせません。

本記事では、モーターが故障する主な原因や、状態を把握するためのメンテナンス方法、さらに故障リスクの低減に役立つ予兆検知の考え方を解説します。

記事監修:第一実業
取締役 常務執行役員CSO 上野 雅敏さん
取締役
常務執行役員CSO
上野 雅敏さん
取締役 常務執行役員CSO 上野 雅敏さん
取締役
常務執行役員CSO
上野 雅敏さん
75年以上の知見から、
現場課題に沿った
設備保全DXを提案

総合機械商社の第一実業は、プラント・製造業分野で75年以上にわたり現場の設備導入と運用を支援してきました。
石油・化学・製紙など重厚長大産業の設備を扱い続けてきたノウハウを基盤に、メーカー中立の立場から各種産業へ保全DXや予知保全など新しい取り組みを提案。理想論ではなく、現場に根ざしたリアルなDX提案を実現します。

※参照元:第一実業公式HP(https://www.djk.co.jp/company/history/)2025年9月末時点

モーターが故障を起こす原因

モーターの故障は突発的に見えても、多くの場合は日常的な負荷や使用環境の影響が蓄積した結果です。主な原因は3つに分類でき、それぞれが設備の停止や生産効率の低下を引き起こす要因となります。以下では、代表的な故障の要因を解説します。

キャパオーバー(過負荷)

モーターに過大な負荷がかかると、内部温度が上昇し、異常発熱を引き起こします。この状態が続くと電流値も上昇し、コイルや絶縁材の劣化が進むおそれがあります。過負荷の原因は、長時間運転や部品の摩耗、異物の混入など多岐にわたるため、点検、清掃、負荷データの確認を組み合わせて状態を把握します。安定稼働を支えるには、負荷の変化を継続的に確認する運転管理が重要です。

ベアリングの異常・不具合

モーターの回転軸を支えるベアリングに異常が生じると、摩擦抵抗が増し、振動や異音などの症状が現れることがあります。潤滑不足、シールの劣化、取付状態など複数の要因が関わるため、メーカーの保守基準と設備の運転条件に沿って、潤滑管理・状態確認・交換時期を検討することが重要です。

絶縁低下・劣化

モーター内部のコイルは絶縁材によって電流を遮断していますが、この絶縁性能が低下すると、漏電や短絡といった重大なリスクが発生します。劣化は長期使用や高温・多湿環境で加速し、最悪の場合は火災や設備全体の損失につながることもあります。こうした事態を防ぐには、定期的な絶縁抵抗の測定によって劣化傾向を把握し、異常が見られた時点で早期に絶縁材を更新することが重要です。小さな数値変化を見逃さない姿勢が、設備全体の安全を支えます。

モーターの効率的な
メンテナンス方法

モーターの安定稼働を維持するには、計画的な定期点検と、異常の兆候を早期に捉える予兆保全(予知保全)の実施が欠かせません。突発的なトラブルを防ぐだけでなく、寿命延長や運用コストの最適化にもつながります。

定期点検

モーターの定期点検は、設備の状態を多角的に把握し、故障を未然に防ぐための基本的な保全活動です。巻線抵抗や絶縁抵抗を測定して絶縁状態を確認し、軸受部の振動測定でベアリングの摩耗を診断します。さらに、運転中の温度上昇や電流・電圧のバランスを確認することで、電気的・機械的両面からモーター全体の健全性を評価します。加えて、異音の有無や端子部の緩みなど、外観・聴診によるチェックも欠かせません。

点検頻度は、運転時間や負荷率、周囲温度、粉塵・湿気などの環境条件に左右されます。24時間稼働や高温環境といった厳しい条件下では月次点検が求められる一方、軽負荷環境では半年〜1年に一度でも十分な場合があります。点検でベアリングの摩耗やグリスの劣化が確認された場合は注油・交換を行い、絶縁値が規定値を下回る際には速やかに補修や部品更新を実施することが重要です。こうした継続的な点検サイクルが、安定稼働を支える基盤となります。

予兆保全(予知保全)

定期点検だけでは捉えきれない異常の兆候を早期に検知するには、予兆保全の仕組みが効果的です。予兆保全とは、設備のわずかな変化を常時監視し、故障の予兆を検出して適切なメンテナンスを行う手法です。モーターでは、振動解析によってベアリング摩耗やローターのアンバランスを特定し、温度上昇や電流波形の変化から絶縁劣化や過負荷の兆候を把握できます。

これに加え、運転音の変化を継続的に記録することで、状態変化を把握する材料を増やせます。振動・温度・電流・音などのデータを点検結果とあわせて評価し、整備や部品交換の時期を検討します。予兆保全は故障防止を保証するものではなく、保全判断を支える情報を増やす取り組みです。

モーターの故障を
事前に検知するには

モーターの状態変化を継続的に把握する方法として、センサーを活用した予兆保全があります。温度・振動・電流などの運転データを取得し、点検結果や過去の故障履歴とあわせて確認することで、異常傾向の早期把握に役立つ場合があります。

センサーで検知できる代表的な項目

モーターの予兆保全では、センサーを通じて設備の状態変化を多角的に把握します。主な検知項目とその役割は次の通りです。

  • 振動(加速度・速度)
    ベアリングの摩耗やアンバランス、シャフトのずれなどに伴う変化を捉えるために用いられます。センサーの取付位置、測定方向、運転条件をそろえて比較することが重要です。
  • 温度
    モーター内部や軸受部の温度上昇を監視し、過負荷、冷却不足、異常摩擦などを検討する材料にします。周囲温度や負荷の影響も受けるため、単独の数値だけで判断しないことが大切です。
  • 電流・抵抗
    電流や抵抗値の変動を捉えることで、絶縁劣化や過電流、負荷増加などの電気的トラブルを検出します。データを継続的に監視することで、劣化傾向を数値で管理できます。

  • 運転音をモニタリングし、ギアやベアリングから生じる音の変化を確認します。周囲騒音や設置条件の影響を受けるため、振動・温度など別のデータと組み合わせて評価します。

これらのセンサーを組み合わせることで、モーターの状態を多角的に監視し、異常の兆候を定量的に把握できます。リアルタイムでの監視体制を構築すれば、突発的な故障を防ぎつつ、計画的な保全へとつなげられます。

導入システムの具体例

モーターの予兆保全を実現するには、センサーだけでなく、取得したデータを分析・管理する仕組みが欠かせません。主な導入システムとその役割は以下の通りです。

  • 振動・温度センサー(加速度センサーやサーミスターなど)
    ベアリング摩耗やアンバランス、過負荷・焼損の兆候を検出し、トラブルの早期予防に役立ちます。
  • 負荷監視用の電流センサー
    モーター内部の絶縁劣化や電流アンバランスを把握し、負荷の増加を定量的に管理します。
  • データ収集・蓄積に対応したIoTプラットフォーム
    センサーで取得した各種データを一元管理し、分析や遠隔監視の基盤となるシステムです。
  • 異常兆候をグラフ化できる分析ソフトやダッシュボード
    時系列でのトレンドを可視化し、異常の傾向や発生タイミングを直感的に把握できます。
  • 遠隔監視システム
    現場と離れた拠点間でもリアルタイムに状態を確認でき、異常発生時の初動対応を迅速化します。

センサー、IoTプラットフォーム、分析画面を組み合わせると、複数設備の状態を同じ画面で確認しやすくなります。どのデータを誰が確認し、変化を検知したときに何をするかまで決めておくことが、保全業務へつなげるポイントです。

防爆エリアでモーターの予兆保全を検討する際の確認事項

第一実業には、モーター停止をきっかけに工場の生産が止まった経験を持つ製造事業者から、防爆エリアにあるモーターの予兆保全について相談が寄せられました。以下は、その相談に対する提案内容を、企業名・工程・機器名を伏せて一般化したものです。

本件は導入後の成果事例ではなく、センサー設置とデモを検討した提案段階の事例です。受注、導入効果、故障防止を示すものではありません。

防爆エリアの確認、適合機器の選定、設置計画、デモ評価の順に進めるモーター予兆保全の提案例

第一実業への相談内容をもとに、マモリワ編集部が匿名化・再構成。防爆仕様の適否は、危険箇所の区分、対象物質、機器の防爆性能、設置方法等を個別に確認する必要があります。

提案の起点:センサーを決める前に設置環境を確認する

相談時には、モーターへセンサーを取り付ける方針が検討されていました。しかし、防爆エリアでは一般環境向けのセンサーをそのまま設置できるとは限りません。提案では、防爆仕様に対応する機器の候補選定、設置方法の確認、デモによるデータ取得の確認を一つの流れとして整理しました。

確認項目 確認する内容
危険箇所の区分 爆発性雰囲気が生じる可能性、頻度、範囲を設備管理者・安全担当者と確認する
対象物質と環境 ガス・蒸気・粉じんの種類、温度、湿度、腐食、洗浄条件などを確認する
機器の適合性 センサー、電源、ゲートウェイ、配線・接続部を含め、必要な防爆性能と国内の型式検定等を確認する
取得データ 振動、温度、電流など、故障モードの仮説に必要な項目を選ぶ
設置・通信 取付位置、保守方法、電池交換、無線到達性、データの保存先を確認する
デモの評価基準 データ欠損、ノイズ、再現性、アラート運用、概算費用など、導入判断に使う項目を事前に決める

防爆機器は国内の法令・検定と設置条件を個別に確認する

日本で使用する防爆構造電気機械器具については、労働安全衛生法に基づく型式検定や、電気機械器具防爆構造規格などの確認が必要になる場合があります。厚生労働省は、防爆構造電気機械器具について登録型式検定機関による型式検定が必要である旨を示しています。

IECEx等の国際認証に関する資料があっても、日本国内での使用可否をそれだけで判断せず、国内の型式検定合格証、機器表示、危険箇所の区分、取付方法を確認してください。具体的な選定・設置は、設備の安全管理者、防爆の専門家、機器メーカー、施工事業者と協議します。

第一実業の提案範囲

この相談では、防爆仕様に対応するセンサー候補の提示だけでなく、設置、デモ、価格確認までを段階的に行い、必要に応じて危険箇所や社内審査に関する確認を支援する構成が提案されました。実際の支援範囲は、対象設備、契約内容、専門事業者との役割分担によって異なります。

故障検知システムを導入する際のポイント

モーターの故障検知システムを導入する際は、単にセンサーを設置するだけでなく、運用やデータ活用までを見据えた仕組みづくりが求められます。以下のポイントを事前に整理し、導入後に評価できる状態をつくります。

導入コストと効果を数値で見極める

故障検知システムの導入には、センサーや通信機器、データ分析ツールなどの初期投資が伴います。特に、工場規模や設置環境によって必要なセンサー数や通信方式が大きく変動するため、想定よりも費用が膨らむケースも少なくありません。たとえば、台数が多い搬送ラインに振動センサーを全台設置する場合、1台あたり数万円でも数百万円規模の初期費用になります。

導入前に「修理費削減」「突発停止防止による生産ロス削減」などの効果を試算し、投資回収期間(ROI)を具体的に算出することが重要です。費用対効果を定量化できれば、経営層への説明や稟議もスムーズになります。

スモールスタートで導入リスクを抑える

全設備へ一斉に導入すると、通信不良やデータ過多など、運用トラブルが起きやすくなります。まずはクリティカル度の高いモーターを対象に、限定的な範囲で試行導入を行うのが現実的です。たとえば「主要ラインの駆動モーター10基のみ」から始め、収集データの精度や異常検知の有効性を検証します。

その結果を踏まえ、センサー配置や分析閾値を調整しながら、他ラインや他拠点への展開可否を検討します。小規模な試行でも、評価項目と中止・見直し基準を事前に決めておくことが重要です。

運用ルールと改善サイクルを仕組み化する

検知システムを導入しても、運用ルールが曖昧では効果を十分に発揮できません。異常検知時の対応手順、アラートの優先順位、報告フローなどをマニュアル化し、誰でも同じ判断基準で動ける体制を整備することが求められます。

また、現場からのフィードバックを集約する窓口を設け、定期的なレビュー会議を実施することで、検知精度や応答スピードを継続的に改善できます。たとえば、製造課・保全部門・DX推進室が月1回で共有会を持ち、運用ログを振り返ることで、システムの定着度を高められます。

データを資産化し、予兆精度を高める

正常時との違いを評価するには、振動や電流、温度などを運転条件とともに蓄積する必要があります。必要な期間は設備の運転頻度、季節変動、故障モードによって異なり、長期間集めれば必ず精度が上がるとは限りません。

データ量だけでなく、センサーの校正、欠損、保全作業による条件変化、異常時の正しいラベルが分析結果に影響します。単発の実証で終わらせず、運用部門・IT部門・安全管理部門が連携して定期的に見直します。

典型的な故障要因を
先読みする仕組みが有効
取締役 常務執行役員CSO 上野 雅敏さん
取締役 常務執行役員CSO
上野 雅敏さん
取締役 常務執行役員CSO 上野 雅敏さん
取締役
常務執行役員CSO
上野 雅敏さん
記事監修:第一実業

モーターは工場設備の中でもトラブルが多く、止まればライン全体の稼働に影響します。過負荷やベアリングの摩耗、絶縁劣化といった典型的な故障要因は、定期点検に加えて振動・温度・電流などのセンサーを活用することで、予兆をつかみやすくなります

第一実業では、メーカー中立の立場で保全方法の検討からPoC、本導入までサポートしており、自社に合った適切な進め方を一緒に考えることが可能です。

モーターの故障に
システムや点検で備える

モーターの故障は、過負荷やベアリングの摩耗、絶縁材の劣化など、日常的な運転環境の中で徐々に進行します。突発的なトラブルを防ぐには、定期点検による状態確認に加え、センサーやAIを活用した予兆保全の仕組みを導入し、異常の兆候を早期に捉えることが不可欠です。現場データを活かしたメンテナンス体制を整えることで、ダウンタイムの削減と設備寿命の延伸を同時に実現できます。

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