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設備保全とは?保守メンテナンスとの違い

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目次

設備保全とは、設備の停止や故障を防ぐ目的で実施する点検・整備・修理などの作業をいいます。設備のコンディションを一定に保ち、故障によるダウンタイムの削減、修理費用の抑制、現場の安全確保が主な目的です。

本記事では、設備保全の基本的な役割から、保守やメンテナンスとの言葉の違い、予知保全・予防保全・事後保全の3種類の主要なアプローチの違いをわかりやすく解説します。

記事監修:第一実業株式会社(設備保全DX領域)/最終確認日:2026年7月23日

設備保全・保守・メンテナンスの言葉の違い

現場では「保全」「保守」「メンテナンス」がほぼ同じ意味で使われることも多く、明確に区別されないケースもあります。ただし、厳密には重視する範囲や視点が異なります。社内で認識を合わせておくと、保全計画の議論がスムーズになります。

用語 意味・重視する範囲 使われ方の例
設備保全 設備の機能を維持し、故障を予防することを含む活動全体。計画・改善までを視野に入れる 「保全計画を立てる」「予防保全に切り替える」
保守 正常な状態を保つための維持管理。契約や役務としての意味合いで使われることが多い 「保守契約を結ぶ」「メーカー保守に依頼する」
メンテナンス 点検・清掃・給油・部品交換といった具体的な作業行為を指す 「定期メンテナンスを実施する」

整理すると、「メンテナンス(作業)」を計画的に組み立てて、設備の機能を維持・改善していく取り組みが「設備保全」という関係になります。保守は、その維持管理を誰が担うか(自社か外部か)という文脈で使われることが多い言葉です。

設備保全の目的と必要性

設備保全は設備の故障リスクを減らし、安定した稼働を維持するために欠かせません。生産への影響を抑えることはもちろん、現場の安全確保のためにも不可欠です。また、設備保全は以下のリスク低減にも寄与します。

故障リスクの低減

設備保全は故障リスクを抑えるために必要です。保全が不十分な場合、設備の性能低下が進行し、突発的な故障を引き起こすリスクが高まります。生産計画への影響だけでなく、修理不能な状態に至り、設備更新という経営上の負担を強いられる可能性も。

設備保全は、潜在的な不具合や異常を早期に検知し、メンテナンスによって故障を防ぎます。

修理費用の削減

設備保全は修理コスト削減にも繋がります(事後保全を除く)。初期段階の不具合を早期に発見し、必要な部分のみを補修することで、修理に必要な部品点数や工数を最小化。 突発的な大規模修理が発生することを防ぎ、費用を大幅に削減します。

ダウンタイムの削減

設備の故障は、生産ライン全体の計画外停止時間であるダウンタイムを発生させ、納期の遅延や売上機会の損失につながります。こまめに保全すれば、適切なタイミングで整備・修理が可能になります。故障リスクが低減し、工場のダウンタイム削減に繋がります。

設備保全の種類

予知保全

設備の状態をモニタリングし、故障や不具合の前兆を検知した際に点検・メンテナンスすることを予知保全といいます。担当者の勘に頼らず、センサーによるデータ収集やAIによる分析を始め、デジタル技術を用いる手法が一般的です。

予知保全を取り入れると、工場のダウンタイムが減り、設備の稼働率を高められる可能性があります。保全のタイミングを事前に検知できるため、保全工数の削減にもつながります。一方、異常を検知する仕組み化や設備・機器の導入コストが課題となります。

予防保全

予防保全は、一定周期で点検・メンテナンスすることをいいます。代表的な手法が定期点検で、設備ごとに定めた間隔で設備の状態をチェックします。また、点検と同時に部品交換やメンテナンスも行います。

予防保全は古くからある設備保全の考え方で、保全のタイミングを明確にできる強みがあります。点検と同時に部品も交換するため、チョコ停や突発故障の発生頻度を抑えられます。ただし、実際の劣化度を加味しない一律交換は、稼働状況に応じた最適保全から外れ、トータルコストを押し上げる要因となり得ます。

事後保全

設備に不具合や故障が発生した際に行う保全業務が事後保全です。設備の異常や故障を確認した後は、修理や部品交換などの対応を行います。「壊れてから直す」という考え方に基づいた保全方法です。

事後保全は保全業務が最小限で済むため、保全コストを抑えられるメリットがあります。しかし、ダウンタイムの長期化を招きかねず、生産計画にまで影響を及ぼすリスクが潜んでいます。使用頻度が多い設備の場合、修理コストが膨らんでしまう可能性もあります。

保全方式の体系(BM・TBM・CBM・PdM)

設備保全について調べると、「予防保全」「予知保全」といった日本語の分類と、「TBM」「CBM」といったアルファベットの用語が混在して出てくるため、混乱しやすい領域です。両者の関係を整理しておきましょう。

略称 正式名称(日本語) 判断の基準 日本語分類との関係
BM Breakdown Maintenance
(事後保全)
故障が発生してから対応 事後保全そのもの
TBM Time Based Maintenance
(時間基準保全)
経過時間・稼働時間 予防保全の代表的な手法
CBM Condition Based Maintenance
(状態基準保全)
設備の状態を示すデータ 予防保全のうち、状態を根拠にする手法
PdM Predictive Maintenance
(予知保全・予兆保全)
データ分析による故障の予測 CBMを高度化した考え方

関係を大まかに言えば、予防保全という大枠の中にTBMとCBMがあり、CBMをデータ分析でさらに発展させたものがPdM(予知保全)という構造です。加えて、リスクの大きさで優先度を決める「RBM(リスク基準保全)」や、設備の機能維持を軸に各方式を組み合わせる「RCM(信頼性中心保全)」といった考え方もあります。

TBMとCBMの具体的な違いと使い分けは「TBMとCBMの違い」で詳しく解説しています。

設備保全業務の内容

設備保全業務は大きく3つに分けられます。

点検や検査 音や振動などの測定
設備や部品の状態確認
整備・メンテナンス 部品やフィルターの清掃
駆動部の注油
修理 破損した部品の交換
メーカーへの修理手配

点検・検査は、設備や部品の状態確認や、設備の不具合・異常を発見するためのデータ測定を目的としています。整備・メンテナンスは、部品やフィルターの清掃、駆動部へのグリスやオイルの注油などの作業が該当します。点検・検査で異常を発見した場合は、部品交換やメーカーへの修理手配を行います。

設備ごとに「どこを見るべきか」「どのようなデータを取るべきか」は異なります。主要設備の故障モードと点検の要点は「設備別に見る故障原因と効率的なメンテナンス方法」で整理しています。

設備保全の現場で起きやすい課題

設備保全は必要性が高い業務である一方、現場では次のような課題が生じやすくなっています。

  • 人手不足:保全担当者が限られ、点検が計画どおりに回らない
  • 属人化:ベテランしか異常を判断できず、引き継ぎができない
  • 記録の分散:点検表が紙やExcelに散在し、過去の履歴を探せない
  • 突発停止:予兆を捉えられず、故障してから対応することになる
  • コストの不透明さ:どの設備にいくらかかっているか把握できていない

こうした課題への具体的な対策は「工場における設備管理課題と解決策」で課題別に整理しています。

IoTやAIを活用した
設備保全の未来と将来性

設備保全は人手に頼る場面が多い一方で、技術者の高齢化や業務の属人化に悩まされる現場も少なくありません。これらの問題を解決するために、近年は設備保全DXを進め、AIやIoTを取り入れる企業も増えています。

AIやIoTは発展が進んでおり、保全業務の省力化や効率化、生産性向上に寄与する可能性を秘めています。また、予知保全の仕組みを構築し、点検データの収集自動化や異常な兆候の検知が可能。点検漏れや評価ミスなどのヒューマンエラー抑止にも繋がります。

実際にAIやIoTを活用している企業では、トラブルの削減や属人化の解消に成功しています。自社の設備保全に課題を抱えている場合、DXを進めてみてはいかがでしょうか。

TBMとCBMの違いを
現場判断につなげる

設備保全を検討する際、TBM(時間基準保全)とCBM(状態基準保全)の違いがあいまいなままだと、「何を優先して整備すべきか」がブレやすくなります。両者はどちらも故障を減らすための手法ですが、判断の基準が「時間」か「状態データ」かで運用の考え方が大きく異なります。

TBMは定期交換や定期点検など、計画停止に組み込みやすい一方で、稼働状況によっては過剰保全になりがちです。CBMは振動・温度・電流値などのデータから劣化の兆候を捉え、必要なタイミングで手を入れることで、無駄を減らしつつ突発停止のリスクを抑えやすくなります。

自社に合う保全方法を選ぶには、設備の重要度や停止影響、データの取りやすさを整理し、段階的に最適化する視点が欠かせません。TBMとCBMの違いと使い分けを押さえたい方は、下記ページでポイントを確認してみてください。

設備保全と「設備保全DX」の関係

ここまで解説してきた設備保全の考え方を、IoT・AI・クラウドなどの技術で高度化する取り組みが「設備保全DX」です。単に点検表を電子化することではなく、人の経験や勘に依存していた判断を、データと仕組みで再現できる状態にすることが本質です。

具体的には、点検記録の電子化から始まり、センサーによる遠隔監視、データ分析による予兆検知、システム統合によるKPI管理へと段階的に発展していきます。どの段階から着手すべきかは、現場の記録の状況や課題によって変わります。

設備保全DXの進め方や導入効果、実際のシステム構成例については、以下のページで体系的に解説しています。