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【制御盤・モーターの熱対策】夏本番では遅い!温度の遠隔監視でチョコ停を防ぐ方法とは

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2026年4月から6月の3か月、全国的に平均気温が高くなるという予報を気象庁が発表しており、昨年同様酷暑からは逃れられそうにありません。また、日本気象協会のウェザーマーケティングレポートによれば、梅雨明けが早く、猛暑の到来も早いという予測が出ています(※)。

記録的な高温が続いた2025年に突発的な設備停止や機械トラブル、空調システムの故障などで疲労困憊した工場では、その後の猛暑に向けてなにか対策を講じなければと考えているのではないでしょうか。

そこで本記事では、制御盤とモーターの具体的な熱対策に加え、突発的な停止を防ぐ「温度の遠隔監視」による設備保全の方法について解説していきます。

※参照元:日本気象協会公式サイト「ウェザーマーケティングレポートVol.5」
https://www.jwa.or.jp/news/2026/03/35666/

猛暑の現場を襲う「熱トラブル」による設備停止

工場規模や設備の大小を問わず、高温環境が深刻な事態を招くことがあります。2026年の夏も猛暑が予測されているなか、なぜ工場内や製造装置などが高温になりやすいのか、その原因を的確に把握しておく必要があります。

なぜ夏場に制御盤の熱暴走やモーターの異常発熱が多発するのか

製造設備や施設を密集させて稼働させている、という工場では空気の流れが悪くなって換気効率を下げてしまうため、周囲の温度が上昇します。さらに4月以降秋口まで続くとみられる過酷なまでの高い外気温が、設備や機械の心臓部分にさらなる負荷をかけることになります。

周囲の温度が上昇すると、制御盤パネル内からの放熱量が減ることになり、その結果パネル内部で発生する熱が増えて制御盤の「熱暴走」につながります。この熱暴走は半導体などの電子部品が熱くなってチョコ停などを引き起こす異常な動きをし、さらにパネル内が熱くなり、最終的に設備の大故障につながるという、熱が引き起こす悪循環のことを指します。

夏場に急増する設備停止の真犯人はこの「熱」であることが多く、放置しておくと制御盤内の温度がさらに上昇して電子部品へのダメージが大きくなります。また、回転中のモーターに過負荷がかかると電流が通常よりも多く流れて発熱し、モーターの緊急停止が生じることもあります。設備保全を考えるうえで、いちばん避けたい状況です。

チョコ停はこうした制御盤内の高熱発生が原因になる場合も多く、放置しておくとトラブルから1時間以上経過しても操業が再開できない「ドカ停」に陥る可能性があります。モーターの過負荷による高熱状態を軽視すると焼損やコイルの絶縁劣化を引き起こし、モーターの寿命を縮めてしまうことになります。

これは設備保全の観点から見ても、大きなリスクになってしまいます。

チョコ停が引き起こす「現場の疲弊」と「生産ロス」

チョコ停(空転ロス)が繰り返されほんの数分でも稼働が止まって生産ラインがストップすることで、生産効率が落ちて大きな生産ロスにつながります。また、チョコ停を放置して設備や機械の大故障やドカ停を引き起こしてしまった場合、事業へのダメージは計り知れません。

さらに復旧の対応や生産ロスを取り戻すための追加作業などで、現場の従業員にも大きな負担がかかります。ただでさえ高い外気温により体力を消耗している状況下、現場従業員の肉体的・精神的疲弊が蓄積されていき、熱中症や体調不良等を引き起こしてしまいます。

ご存知のように、2025年6月1日に改正労働安全衛生規則が施行され熱中症対策が義務化されています。対象となるのは「WBGT値(暑さ指数)28度以上又は気温31度以上の環境下で連続1時間以上又は1日4時間を超えての実施」が見込まれる作業です。

仮に熱中症対策を規定通りに行わず違反してしまった事業者には、労働安全衛生法第119条に基づき、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があるので注意が必要です。

猛暑に襲われる日本の夏は、機械にとっても人間にとっても危険な季節といえますので、早い段階で対策を講じておかねばなりません。

※参照元:【PDF】厚生労働省「職場における熱中症対策の強化について」
https://www.mhlw.go.jp/content/001476821.pdf

「夏本番になってから」の対策では手遅れになる理由

夏になる前に工場や設備の熱対策をしなくてはいけないと頭ではわかっていても、なかなか行動に移せないものです。ただ、外気温の上昇が年々早まっているのは事実で、2020年以降は「5月はもう夏」といえる気温になっています。

夏本番を迎えてから冷却ファンや遮熱シートなどを手配しようとしても、対応業者が繁忙期で工事や納期が遅れてしまう可能性が高くなります。したがって工場の熱対策は4月から5月にかけて完了させ、5月中には空調や設備の点検や試運転を実施しておくというのが理想です。

マーケティングでもシーズナリティ(季節変動)に合わせた戦略を練りますが、工場の設備保全もこのシーズナリティを意識して計画を立てることが重要なのです。

設備保全を根本から変える「温度の遠隔監視」という選択肢

工場の設備や機械の予防保全で大事なのは、「予知保全」という考え方です。予知保全とは、IoTセンサーや電流センサーなどを設置して設備の状態を常時監視し、制御盤の急激な温度上昇やモーターの異常動作の兆候をデータから予測して対策を講じるという方法です。

定期的に設備や機械のチェックを行う従来の保全対策ではなく、設備や機械の状態をデータで常時監視して把握して分析。異常が生じていることを早期に発見したり、温度や圧力が閾値を超えるデータが確認できた段階で、チョコ停やドカ停を未然に防止したりすることができます。

たとえば制御盤やモーターに簡易センサーを設置して温度ロギングを導入、環境のモニタリングをしておけば、リアルタイムで異常数値を検出することができ、ダメージを最小に抑えることができます。設備保全のために新たに人員を配置する必要もありません。

IoTを活用した温度の遠隔監視システムとは?

IoTを活用した遠隔温度監視システムとは、制御盤内やモーター表面に後付けの小型IoTセンサーを取り付け、温度(および振動)のデータを自動でクラウドに収集する仕組みのことを指します。

異常数値を検知した場合はタブレットやスマートフォンにリアルタイムでアラートが送られてくるため、迅速な対応が可能になります。

ヒューマンエラーを発生させることなく、24時間365日自動で「熱」を監視でき、ファンやポンプ、電気部品などの予防保全に有効なだけでなく、省エネ診断のデータとしても活用することができます。

設備保全の観点からも遠隔監視は有用ですが、遠隔で設備や機械を監視することができれば、中央制御室に多くの人員を割く必要がなくなり、人員配置の最適化が実現できます。

熱対策に遠隔監視システムを導入する3つのメリット

熱対策に遠隔監視システムを導入するメリットには、おもに以下の3つの要素が挙げられます。

メリット1:アラート通知で素早い対応ができる

制御盤が熱暴走を引き起こす前に異常の「予兆」を検知して、チョコ停などのトラブルを未然に防げる可能性が高まります。設定温度を超えたら即座にアラート通知が来るため、完全に止まる前に対応可能です。

温度上昇のトレンドがログとして残るため、故障してからあわてることなく設備保全の体制が整うため、予知保全への移行を実現できる点も大きなメリットです。

メリット2:職人技に頼らなくて済むようになる

これまで属人化していた巡回点検や定期的なチェックなどの工数を削減し、従業員の負担を大幅に軽減することができます。省人化により最終的に人件費も削減できるうえ、ベテランの勘に頼ることなく高精度な判断ができるようになります。

IoTやAIなどのデジタル技術で「形式知化」(だれもが認知・理解できる形式に変換すること)ができるため、人員配置の苦労もなくなり、データの共有も容易にできるようになります。

メリット3:収集されたデータで「データドリブンな保全(CBM)」に移行できる

現在の設備や機械をそのまま使用しながら、後付けで監視センサーやIoTでデータを収集し、リアルタイムでデータに基づいた正確な判断ができるようになります。データドリブンな保全、いわゆる「CBM(Condition Based Maintenance)」を基盤とした設備保全が設計できます。

時間や期間で設備や機械の状況を確認するのではなく、異常な兆候を分析で早期発見し、故障に先んじてメンテナンスの必要性を判断できる点がメリットであり、予防保全から一歩進んだ予知保全が実現できるようになります。

遠隔監視であればスモールスタートで「熱リスク対策」が実装できる

遠隔監視を導入する場合はネットワークを経由するためセキュリティ対策が必要ですし、システムの導入には初期費用や運用費がかかります。したがって工場全体や設備のすべてに設置するのではなく、どの設備のどこに導入するのが熱対策に有効なのか、すでに導入している企業の事例なども参考にしながら、最適な遠隔監視システムを採用するのが理想です。

熱トラブルは「起こってから対処する」のではなく「起こる前に予兆を掴む」ことが最大の対策であると、改めて認識していただければと思います。「去年よく止まった制御盤」や「稼働率の高い重要モーター」など、対象を絞ったスモールスタートでの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

今年の夏は「熱対策+遠隔監視」でチョコ停ゼロの現場へ

2026年も昨年同様、暑い、暑い夏がやってきます。さらに製造業界も慢性的な人手不足が深刻な状況です。これまで属人化していたモニタリングをIoTやAIといったデジタル技術で常時監視する体制を整えれば、従業員のストレスを軽減して職場環境も大いに改善されます。

またチョコ停が起こらなければ製造工程のロスも発生せず、生産効率も落ちません。

温度上昇の兆候を遠隔でキャッチし、現場が振り回されない計画的な予防保全・予知保全を実現するためには、いますぐ行動を起こすことが肝要です。今年こそ、暑いさなかに汗だくになってトラブル対応に追われるようなことがないよう、今すぐ準備したいものです。

「去年の夏のように、突発的なトラブルで現場を走り回りたくない」
「熱暴走によるチョコ停を、今年こそは確実に防ぎたい」

そうお考えの設備保全担当者様へ。

大掛かりな工事不要で、既存の制御盤やモーターに後付けできるIoT監視システムをご用意しています。本格的な夏が到来する前に、まずは1台から試してみませんか?