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コンプレッサー故障原因と効率的なメンテナンス方法

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目次

空気やガスを圧縮し、動力源として供給するコンプレッサーは、多くの産業設備で重要な役割を担っています。トラブルの要因には、温度変化や粉塵などの異物混入、潤滑油の劣化などがあり、放置すると稼働停止や生産ロスにつながるおそれがあります。本記事では、コンプレッサーの主な故障原因と効率的なメンテナンスの進め方、さらに故障を未然に検知するためのポイントを解説します。

記事監修:第一実業
取締役 常務執行役員CSO 上野 雅敏さん
取締役
常務執行役員CSO
上野 雅敏さん
取締役 常務執行役員CSO 上野 雅敏さん
取締役
常務執行役員CSO
上野 雅敏さん
75年以上の知見から、
現場課題に沿った
設備保全DXを提案

総合機械商社の第一実業は、プラント・製造業分野で75年以上にわたり現場の設備導入と運用を支援してきました。
石油・化学・製紙など重厚長大産業の設備を扱い続けてきたノウハウを基盤に、メーカー中立の立場から各種産業へ保全DXや予知保全など新しい取り組みを提案。理想論ではなく、現場に根ざしたリアルなDX提案を実現します。

※参照元:第一実業公式HP(https://www.djk.co.jp/company/history/)2025年9月末時点

コンプレッサーが
故障を起こす原因

コンプレッサーの故障要因は多岐にわたり、運転条件や設置環境によっても異なります。過負荷運転や潤滑油の劣化、冷却不足、異物の混入、配管やバルブの不具合など、いずれも日常の使い方や環境管理に起因するケースが多く見られます。こうした要因を把握し、定期的な点検・清掃を習慣化することが安定稼働の第一歩です。

高温・低温など環境による影響

コンプレッサーは温度環境の影響を受けやすく、高温下では潤滑油の酸化や粘度低下、低温下ではドレン凍結や始動不良が発生することがあります。これらは動作不良を引き起こし、長期的には重大な故障につながる要因です。温度変化が大きい現場では、冷暖房設備による温度管理や設置場所の見直し、断熱対策の実施が効果的です。

粉塵など異物の混入

粉塵や金属粉、木くずなどの異物が内部に入り込むと、フィルターの目詰まりやシール部の損傷を招きます。結果として圧力低下や異音、効率の悪化を引き起こし、部品の寿命を縮める原因にもなります。粉塵の多い環境では、防塵カバーの設置や定期的なフィルター清掃、吸気口の位置改善など、環境に合わせた対策が欠かせません。

部品の摩耗・劣化

ベアリングやパッキン、フィルターなどの消耗部品は、使用時間の蓄積とともに徐々に摩耗・劣化が進行します。放置すれば振動や異音、圧力漏れが発生し、突発的な停止につながるおそれがあります。定期点検の際には稼働時間や運転回数を基準に状態を確認し、事前に交換サイクルを設定しておくことが重要です。

潤滑油不足・劣化

潤滑油の不足や劣化は、部品同士の摩擦や焼き付きを引き起こす典型的なトラブル要因です。劣化した潤滑油は酸化物や水分を含みやすく、内部部品の動きを阻害します。メーカー推奨の交換サイクルを守り、油量や油質のチェックをルーチン化することで、予防保全の精度を高めることができます

コンプレッサーの
効率的なメンテナンス方法

コンプレッサーの故障を防ぐには、定期メンテナンスによる予防と、異常の兆候を早期に把握する予兆保全(予知保全)の両立が重要です。日常点検で汚れや摩耗を抑えつつ、温度・振動・電流値などのデータを継続的に監視することで、突発的な停止を未然に防げます。こうした取り組みが、安定稼働と省エネルギー運転の実現につながります。

定期点検

定期点検は、コンプレッサーのトラブル防止と性能維持の基本です。稼働中の異常を未然に防ぐため、以下の項目を計画的に確認しましょう。

  • フィルター・冷却器の清掃
  • 主要部品の摩耗・劣化確認および交換
  • 潤滑油の量・状態の点検と交換
  • 温度・振動・電流値・ボルト緩みの確認

点検頻度は、使用環境・稼働時間・設置場所の条件によって変わります。メーカーの推奨基準や運転データをもとに、現場に合った保全周期を設定することが重要です。

予兆保全

予兆保全は、センサーやIoTシステムで設備の状態を常時監視し、異常の兆候を検知した段階で点検・整備を行う保全手法です。設備の実際の状態に基づいてメンテナンス時期を判断できるため、無駄な作業を減らしながら故障リスクを最小化できます。

コンプレッサーでは、吐出圧力や流量の変化からバルブのリークや摩耗を、振動や温度の上昇から軸受やピストンリングの劣化を検知できます。さらに、電流値や潤滑油の分析データを活用すれば、内部部品の状態を定量的に把握することも可能です。

予兆保全を導入することで、突発停止を防ぎ、生産ライン全体の安定稼働と省人化を同時に実現できます。保全担当者の負担軽減やメンテナンスコストの最適化に直結するため、DXによる保全体制の高度化に向けた第一歩となります。

コンプレッサーの故障を
事前に検知するには

コンプレッサーの突発停止を防ぐには、センサーによる状態監視とデータ分析を組み合わせ、異常傾向を早期に察知する仕組みづくりが重要です。複数のセンサーを設置することで、運転状況を多角的に把握できます。

振動センサー

軸受や回転部のバランス異常、ベアリングの摩耗など、機械的トラブルの初期兆候を検出し、振動パターンを継続的に分析することで、異常を数値で把握できます。

音響センサー

通常運転時と異なる音を検知し、バルブのリークやピストンの摩耗、衝撃音などを特定。人の聴覚では捉えにくい微細な変化も検知可能です。

温度センサー

モーターや軸受、潤滑油の温度を常時監視し、冷却不足や潤滑不良の兆候を把握します。温度上昇を早期に察知することで、焼き付きやオーバーヒートを防止できます。

油圧センサー

潤滑油や作動油の圧力を監視し、ポンプや配管系統の不良、オイル漏れなどを検知します。圧力変動の傾向から、摩耗や目詰まりの進行も判断可能です。

流量センサー

空気やガスの流量を測定し、フィルターの目詰まりや配管リークの発生を特定。流量の変化を追跡することで、供給効率の低下を早期に防げます。

これらのデータを連携させて監視することで、設備状態の“変化”を可視化し、保全計画の精度を高められます。点検とデータ監視を一体化することで、突発停止を防ぎながら長期安定稼働を実現できます。

導入システムの具体例

コンプレッサーの予兆保全を実現するには、センサーによる状態取得からデータ分析・遠隔監視までを一体化した仕組みが必要です。代表的な構成要素とその役割は以下の通りです。

  • 振動センサー: 軸受や回転部の異常振動を検知し、摩耗やバランス不良を早期に把握
  • マイク・A/Dコンバーター: 運転音を解析し、バルブのリークやピストンの摩耗を検知
  • 温度センサー: モーターや潤滑油、軸受の温度を監視し、冷却不足や劣化を検出
  • 油圧・圧力センサー: 潤滑油や圧縮空気の圧力変動を監視し、ポンプや配管の不良を特定
  • 流量計・流量センサー: 流量の変化を測定し、フィルターの詰まりや配管リークを把握
  • IoTプラットフォーム: センサーデータを収集・蓄積し、複数設備を一元管理
  • 分析・可視化システム: データを解析し、異常傾向をダッシュボードで表示
  • 遠隔監視ツール: 離れた拠点の稼働状況をリアルタイムで監視し、迅速な対応を支援
  • AI監視・検知システム: 過去データを学習し、閾値を超える前に異常を自動検出

これらのシステムを連携させることで、データの「取得・分析・判断・対応」を一気通貫で行えます。センサー単体ではなく、データを活かす仕組みとして構成することが予兆保全成功の鍵です。

故障検知システムを
導入する際のポイント

コンプレッサーの故障検知をシステム化する際は、導入後の運用まで見据えた設計が重要です。センサーを設置するだけでなく、データの収集方法や分析体制、現場での活用フローまでを整備することで、安定した効果を発揮します。以下のポイントを押さえておきましょう。

費用構成と投資対効果を可視化する

故障検知システムの導入は、単なる機器購入ではなく、保全体制全体の再設計を伴います。センサーや通信装置、ソフトウェアのライセンス費用に加え、設置工数やネットワーク整備費も考慮が必要です。投資判断を行う際は、「年間停止損失の削減額」や「保全工数の圧縮効果」など、定量指標で費用対効果を算出することが重要です。

段階導入で検知ロジックと運用負荷を検証する

複数ライン・機種を抱える工場では、PoC(概念実証)による段階導入が効果的です。まず1〜2台に適用し、アラート頻度や誤検知率、担当者の対応負荷を測定します。導入初期に「どのパラメータを閾値とするか」をチューニングしておくと、全体展開後の精度ブレを防げます。

データを資産化し、運用しながらモデルを磨く

システム導入後は、データを継続的に蓄積・分析し、現場ノウハウとして体系化していくことが肝要です。異常検知の精度はデータ量に比例して向上するため、現場点検記録や修理履歴との紐付けも有効です。AIモデルや分析ロジックは“運用しながら磨く”という姿勢が、長期的なROI向上につながります。

運用プロセスと責任体制を設計する

検知後のアラート対応は、担当者任せにせずフロー化することが重要です。異常判定→一次確認→停止判断→報告という流れを標準化し、誰がどの段階で判断するかを明確にします。また、DX推進部門と保全現場の役割分担を整理し、“人とシステムの二層運用”を設計することで、属人化のない持続的運用が実現します。

点検とデータ監視の
組み合わせがトラブル防止の鍵
取締役 常務執行役員CSO 上野 雅敏さん
取締役 常務執行役員CSO
上野 雅敏さん
取締役 常務執行役員CSO 上野 雅敏さん
取締役
常務執行役員CSO
上野 雅敏さん
記事監修:第一実業

コンプレッサーは工場のユーティリティを支える設備であり、生産ライン全体に影響が及びます。高温環境や粉塵混入、潤滑油劣化など典型的な故障要因は、定期点検とセンサーによる監視を組み合わせることで早期に予兆を把握できます

第一実業では、メーカー中立の立場で保全方法の検討からPoC、本導入までサポートしており、自社に合った適切な進め方を一緒に考えることが可能です。

定期点検と予兆保全で
コンプレッサーの故障に備える

コンプレッサーの信頼性を維持するには、定期点検による予防保全と、データ監視を活用した予兆保全の両輪が欠かせません。センサーやシステムを組み合わせて異常を早期に捉えることで、突発停止を防ぎ、計画的なメンテナンスが可能になります。保全の効率化を進めたい方は、他設備のメンテナンス事例もぜひご覧ください。

当サイトでは、設備保全のDX化を検討している方に向け、導入効果や進め方、活用例などをまとめています。設備保全DXの入門書として、ぜひお役立てください。