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設備保全のIoT化で働き方改善!後付け遠隔監視による省人化・コスト削減事例

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設備保全を見直す要因のひとつに、「働き方の改善」があります。

24時間稼働している工場などでは、機械や設備の緊急停止やモーターの異常高温などのトラブルが発生すれば、夜間や休日に急な対応を迫られることも多々あります。このような勤務形態は、従業員にとって大きなストレスになってしまいます。

不定期なシフトや緊急対応の発生するイレギュラーな現場は、人材確保や人材定着が難しいという大きな課題を抱えています。賃上げや資材高騰、不安定な世界情勢など、中小企業を取り巻く環境は厳しさを増しています。だからこそ、人材獲得の工夫や従業員の職場環境改善に注力する必要があります。

そこでここでは、実際にIoTを導入することによって属人化する作業工程の見直しや、省人化などに成功した製造業の事例を紹介していきます。中小規模の工場だからIoTを導入しても意味がないだろう諦めている経営者や現場責任者は、ぜひこの事例を参考にしてみてください。

事例1:熱処理炉のIoT化で夜間の緊急対応減少に成功

熱処理炉のIoT化で夜間の緊急対応を減らし従業員の負荷を軽減

ある従業員数30名規模の金属熱処理加工メーカーでは、歪みの少ない高精度な熱処理技術を有し、高い評価を得ていました。しかし、夜間は熱処理炉を無人で運転しており、トラブルが発生するたびに管理者や担当者が対応せざるを得ないという状況でした。

【課題】

  • 夜間にトラブルで熱処理炉が停止した場合は、管理者が何度も熱処理炉の稼働状況を確認する必要があった。
  • 夜間や休日でも「人が対応する」必要があるため、従業員に大きな負荷がかかっていた。場合によっては工場長や社長が駆けつけるしかない状況だった。
  • 作業時間内においてもチョコ停や瞬停発生時にその都度、炉に異常がないか確認する必要があり設備保全の工程が非効率だった。

このほか、一部の事務作業なども属人化しており、大変時間がかかっていました。この課題を解決するために、同社はIoTの導入を決断します。

【解決】

  • 補助金制度を活用し、熱処理炉メーカーとの共同開発を実施。熱処理炉をIoT化してスマートフォンで稼働状況を細部までリアルタイムに監視できる仕組みを作り上げた。
  • 熱処理炉の稼働状況を遠隔で確認できるだけでなく、熱処理炉の遠隔停止が可能となり、夜間・休日に管理者が現場に出向く必要がなくなった
  • IoT化された熱処理炉の遠隔監視により、管理者や担当者の心理的・物理的負担が軽減され、勤務環境が改善された。
  • さらにIoTやAIの活用で熱処理炉の設備管理に必要なデータが蓄積され、予知保全につなげることができるようになり、設備保全の観点からも改善された。

従業員の人数が少ないからこそ、IoTやAIの技術を活用して効率的に設備管理を実施しているだけでなく、人件費のコストを圧縮して従業員のワークライフバランスも改善できたという、好例のひとつです。

事例2:デジタル化で生まれた余剰リソースが高付加価値製品の誕生につながった

IoTによる遠隔監視など、デジタル化によって新たな事業展開が見えた

ある従業員数50名規模のプラスチック射出成形メーカーでは、単価の安い射出成形品を大量に製造するため、創業当時から24時間365日工場を稼働させていました。かつては夜間や休日も人員を配置して、経営者自身も会社に泊まり込んで管理していたそうです。

【課題】

  • 単価の安い製品を大量生産するため、24時間365日の稼働が大前提。そのため休日や夜間に対応する従業員の手配や管理に苦労していた。
  • 成形機への材料補充、治具・工具・金型などの交換などに人手が必要になるが、夜間や休日にはどうしても手薄になってしまう。
  • 事業規模が大きくなるにつれてトラブル発生率も高まり、成形機などの設備を監視するためだけの人員配置が必要になっていた。

年間を通して生産体制を維持するため、当時属人化していたさまざまな作業をデジタル化による効率化で解決しようと大きく経営の舵を切りました。

【解決】

  • すべての成形機の稼働状況を示すデータを取得、稼働状況をリアルタイムに一覧表示する仕組みを構築。成形機管理の省人化を実現した。
  • 工場内に多数のネットワークカメラを設置、スマートフォンから工場内の状況が確認できるようにした。この仕組みを導入することで、夜間や休日に工場に駆けつけることがほとんどなくなった
  • 効率的な生産体制により生まれた人的余剰リソースを活かして、新製品の試作・量産化、さらに高付加価値製品の創出などに人もコストも投じることができるようになった。
  • 検査工程や箱詰め工程といった手数と人員がかかる作業をデジタル技術で効率化することで、従来の製品を生産しながら、より高い利益が生み出せる体質へと成長した。

IoTやAIによるデジタル化は、単に作業の効率化や省人化だけを実現するものではないということが、この事例から分かります。後付けの遠隔監視システムなどデジタル技術を駆使して、生産工程自体を見直すことによって生まれる余剰時間や人材を活かすことができれば、次なる事業展開につなげていくことも可能です。

事例3:「アナログ」を活かすためにIoTなどのデジタル技術を導入、新工法の開発につなげる

デジタルとアナログの融合で「稼ぐ力」を生み出す取り組みにチャレンジ

ある従業員数30名規模のプレス加工メーカーでは、かつては薄利多売の加工費の積み重ねで収益を得ており、金型もすべて外注していたため、収益的にも事業展開にも大きな伸びが期待できない状況でした。

その後、金型の内製化を進めた結果、主導的なものづくりを実現し利益率も高まりました。ここで同社が次に取り組んだのが、徹底的にデジタル技術を活用するということでした。

【課題】

  • もともとは薄利多売で収益が上がりにくい事業構造であり、稼ぐ力や競争力が弱い状態だった。
  • 少ない社員ですべてのルーチンワークに対応をしなければならず、検査結果のばらつきや記録ミスなどが生じていた。
  • 金型を外注していたことも影響して、技術的な付加価値や納期などが自社でまったくコントロールできていなかった。

まず金型の内製化を実現したのち、適切な人員配置や属人化していた作業などのデジタル化に着手しました。

【解決】

  • IoTなどのデジタル技術を導入して自動化を推進、製品検査などのルーチンワークに人手をかけない仕組みをつくった。受注から出荷までを自動化するシステムを導入し、製造に関する間接的な作業は極力なくした。
  • 作業の自動化により獲得した時間と人材のリソースを、大学機関と連携した新工法の開発や、新事業創出のアイデア出しなどに割けるようになった。
  • 社員全員が「収益を上げるためになにができるか」を考えるようになり、クリエイティブな工場として成長していくことを目指せるようになった。

デジタル技術でルーチンワークを徹底的に自動化することによって、考える時間と考える人材を創り出している事例です。IoTの活用は、自動化による作業の効率化だけでなく、人材育成や新事業の創出にリソースを振り分けることができるようになるという大きなメリットがあります。

IoTの導入で設備トラブルの夜間呼び出し削減を実現

ここで紹介したIoT導入などの成功事例からは、単に作業の効率化につなげただけでなく、新たな事業モデルの構築につなげるなど多くのメリットがあることがわかります。

ご紹介した事例のなかには、大掛かりなシステム構築を実現したものもありますが、いまある設備や機械に後付けでセンサーや監視カメラなどを設置する方法もあります。この方法であれば、高額な費用を投じることなく、スモールスタートで設備保全(予知保全)が可能になります。

設備保全の手法として注目されている「予知保全」とは、リアルタイムで設備の状態を監視して、記録されたデータに基づいてトラブルを事前に回避するためのメンテナンスや部品交換をする手法です。この予知保全にはIoTが不可欠です。

本記事の最後に、IoTによる遠隔監視の導入により、どのようなメリットが得られるのかまとめておきましょう。

IoTによる設備の遠隔監視で得られるメリット

負担となっていた夜間や休日の設備トラブル対応が減少する

夜間・休日の巡回点検やトラブル対応は従業員にとって大きな負担です。スマートフォンやタブレットを使って遠隔監視ができるようになれば、わざわざ深夜に工場に出向かなくても遠隔で操作ができるケースが増えます。自宅と工場が離れている場合などは夜中に対応するのは大変ですので、これが改善されるのは大きなメリットです。

24時間365日リアルタイムで設備・機械が監視できる

IoTによる遠隔監視システムを実装することで24時間365日、タイムラグなくリアルタイムで設備や機械の監視ができます。これまで属人化していた設備管理の業務をなくすことも可能です。人の目で見るよりもデータとして確認するほうが、人為的なミスも起こりにくいという特徴もあります。

設備や機械の異常・不具合のアラートを検知できる

モーターの不具合や異常高温など、設備や機械に不具合が生じた場合にアラートで知らせてくれる点もメリットです。小さな異常ならチョコ停ですみますが、そのまま時間が経過してしまうとドカ停につながってしまいます。スピーディに対応できれば、設備の故障を未然に防げます

稼働率や生産量といった生産性を可視化できる

よく「工場の見える化」と表現されますが、遠隔監視システムを導入すると、設備の稼働率や生産量、生産率、消費電力といった生産性をクラウドサーバーにデータとして記録して可視化することができます。設備保全だけでなく、データを分析することで生産性の改善にもつなげることができます。

データの蓄積により設備トラブルの予知保全が可能になる

設備や機械の稼働状況などがすべてデータ化されることで、故障のリスクやトラブルの予防につなげることができます。IoTやAIといったデジタル技術の導入で、ダウンタイムを極力なくして高稼働率、高生産量を維持できるようになります。

品質や生産を効率的に管理できるようになる

製造工程におけるさまざまなデータが蓄積できることにより、不良品発生率の低下や製品品質の安定につなげることができます。不良が発生しやすい製造工程が確認できれば、どの設備をどう改善すればよいかも見えてきます。

業務の効率化で人材配置の最適化・省人化を実現

遠隔監視システムの導入により、巡回検査など属人化していた業務をなくして作業を効率化することができるため、人材配置の最適化が図れます。その結果省人化が実現でき、そのリソースをほかの業務に振り分けることも可能です。

中小規模工場へのIoT導入事例からわかること

この記事で紹介した3つの事例は、社員数が数十名規模の比較的規模が小さな製造工場です。「うちは従業員も少なく小規模だし、デジタルのことはわからないから無理だろう」と思い込んでいる事業者のみなさんも、けっしてそうとは言い切れないことを知っていただきたいです。

設備の開発や最新の機械を導入するためには、費用負担が大きくなかなか踏み切れないという事情はあると思います。しかし、後付けの遠隔監視システムであれば、高額な費用は必要ありません。設備のタイプや機械の種類にもよりますが、スモールスタートで「工場の見える化」と「遠隔監視」が実現できます。

多機能すぎて使いこなせない大手向けシステムではなく、現場に必要な機能だけに絞った「身の丈に合ったDX」のひとつとして、遠隔監視システムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

後付けの遠隔監視システムについてもっとくわしく知りたいなら

第一実業(DJK)は2026年で創立79年を迎えます。海外18ヵ国に36拠点を展開し、さまざまな機械メーカーと製造業をつないできた実績があります。あらゆる生産現場の技術支援や課題解決につながる提案を行い、DXソリューションの提供も行っていますが、小規模工場への遠隔監視システムなどもご提供しています。

工場へのIoT導入事例や遠隔監視システムの詳細についてもっとくわしく知りたい場合は、下記問い合わせ先よりご相談ください。